2008.10.27

vs Sagawa Shiga FC戦

加藤武さん演じる等々力警部なら、こう言うところかな。

「よ~し、わかった!」

 予想がまったく当たらないへっぽこスポーツライター、カネコタツヒトはわかってしまいました。なぜ琉球が勝てないか。なぜ点が取れないのか。

 シュートを打たんからよ。

 あ、ちなみに加藤武さんとは、文学座出身の渋い脇役俳優で、「よ~し、わかった!」というのは、金田一耕介シリーズの中のお約束的なセリフ。石坂浩二さん演じる名探偵金田一耕介が推理を働かせてる横で、等々力警部が自分の頭の中ではじき出したお粗末な結論に飛びついてしまうわけですな。もちろん、その推理は大外れ。

 しかしながら、幼少時より推理小説にハマり続けているカネコタツヒト、今回の推理には自信があります。ま、シュートを打たなきゃ勝てないっていうのはあんまりにも当たり前すぎる説明なので、多少補足しましょう。

 つまり、ミッドフィールダーのシュートが少なすぎる。

 一応、フォーメーションとしては4-3-3で、中盤は3人だったこの日の琉球。とはいえ、FW登録の永井も実質的にはトップ下の役割だったので、4-2-2と見てもよし。で、この4人が合わせて何本のシュートを打ったかというと──。

 たったの「1」、なのよ。

 で、その「1」はセットプレーから澤口が頭で合わせたシュートで、足によるシュートはゼロ。FWより後方に位置するミッドフィールダーならば得点を取る上で不可欠といってもいいミドル、ロングレンジからのシュートが、ゼロ。

 これじゃ、得点力不足も当然だわな。

 ミッドフィールダーが自分のポジションを空けて前に飛び出すのには勇気と体力がいる。でも、「いまなら大丈夫だ」と見計らって前線に飛び出す選手がいなければ、現代サッカー、なかなか得点は奪えない。ところが、いまの琉球の中盤は、シュートが少ないだけじゃなく、相手ペナルティエリアに侵入する回数も極端に少ない。たぶん、JFLの中でダントツの最下位だと思う。ちなみに、シュートの数では間違いなく最下位。

 じゃあ、不振の責任は中盤の選手にあるのか……というと、そうとも言えない部分がある。いや、もちろん彼らにも責任はあるんだけれど、彼らだけの責任じゃない。

 JFLのチームは最終ラインの裏めがけて長いボールを放り込んでくることが多々ある。SAGAWAがやってきたのもそういうことだった。で、それ自体にはさほど危険はないにもかかわらず、常に背後を狙われるDFラインはだんだんとラインを深くしていってしまう。最終ラインが下がれば、中盤も下がらざるをえず、結果的にFWとの間に大きなスペースができてしまい、飛び出すには尋常ではない勇気と体力が必要になってしまう。

 よって、シュートが減少する。

 この日、琉球のチャンスはほとんどが左サイドから生まれた。残念ながらクロスの精度が低かったために得点にはつながらなかったものの、林田の攻撃参加がチームにリズムをもたらしていた。言い方を代えれば、林田が攻撃参加可能な位置でプレーできていた時間帯があったということ。こういう時間帯の琉球は、Jのどこに出しても恥ずかしくないサッカーをする。

 でも、それが続かない。単調なロングボールに必要以上に怯え、ラインを深くしてしまうから、林田が駆け上がらなければいけない距離はどんどんと長くなり、しかも、FWとMFの間にできたスペースをいいように使われるようになる。で、余裕たっぷりのワンツーを通されたりするので、トップスピードで飛び込んでくる相手を警戒する最終ラインはなおさら深くなる。

 完全なる悪循環。

 じゃあどうすればいいのか。

 正直言って、今シーズンはもう間に合わない。でも、来シーズンに向けては、FWとMFの距離を縮めることを前提とした最終ラインでのラインコントロールを徹底させること。攻撃に人数をかけた時の琉球は、惚れ惚れするぐらい美しい攻めを展開することができる。だったら、自分たちのストロングスタイルをもっと前面に押し出していかないと。

 なぜ北九州戦での琉球は敵地をどよめかせるほどのサッカーができたのか。急遽センターバックに起用された森戸が必死になって浅いラインをキープしたからだった。なぜそれが続かなかったのか。天皇杯準決勝で大学生にいいようにやられてしまったことで、1対1でのスピード勝負を恐がるようになったDFラインが「ウラを取られない」ことに腐心するようになったからだった。

 ああすっきりした。

 久々に中盤に起用された澤口は、専門誌風の採点でいくと「7・5」をつけたくなるような素晴らしい出来だった。なぜか先発から外された比嘉は、短い時間ながら次元の違うプレーを見せてくれた。20年ほど前、四日市中央工の無名選手に「レフティ・モンスター」なるニックネームをつけたことがあるけれど、ここのところの比嘉は“可愛い怪物”──ベイビー・モンスターとでも呼びたくなるような化けっぷりだ。

 カネコタツヒトの中では、チームの課題ははっきりして、来季への新たな可能性、それもとんでもなくデカい可能性が見えてきた。ホームでの6連敗は痛いし、せっかく中継してくれている琉球放送さんでただの一度も勝利をお伝えできていないのは悔しいけれど、でも、こんなことは長く続かない。

 この低迷は、不治の病ではない。

 よって、0-2の負けにもかかわらず、本日のカネコタツヒトは比較的晴れやかな気持ちである。あとは、この結論が等々力警部ばりのとんちんかんなものでないことを祈るばかりだ。


2008.10.25

vs 流通経済大

 試合のことは、もうよしとする。流通経済大学が強かった。特に、2ゴールをあげた17番の沢口泉君が素晴らしかった。あれだけのプレーをされてしまったら、Jのディフェンダーだって間違いなくやられる。試合後、話しかけてみたら「現在就活中です」とのことだったので、早速フロントに伝えて獲得に動いてもらうことにした。いくつかのJ2チームからオファーはきてるそうだけど、「ここのファンの熱気って凄いッすね」と北谷の空気をお気に召してくれたようだったから、もしかすると来年、琉球のためにゴールを量産してくれるかもしれない。
 でも、一方でチームを去る選手もいる。
 契約打ち切りを伝えられた瞬間、黒田福太郎は「頭が真っ白になってしまった」そうだ。以来数日間、まどろみよりも深い眠りはとることができなかった、とも。その痛みがどれほどのものだったかは、プロ選手としての経験がない人間にも容易に想像がつくし、たぶん、本人が感じた痛みは第三者が想像する痛みの10倍、100倍ぐらいあるのかもしれない。
 プロの宿命、ではある。実際、この瞬間にも日本各地で黒田が受けたのと同様の宣告を受けている選手がきっといる。そういう選手を取材した経験もある。
 でも黒田は、あるいは三好は、カネコタツヒトが個人的に知っている「チームからクビを切られた選手」とはちょっと違っていた。どう違っていたか。チームに対する思いがまるで違っていたのである。
 選手だって、自分がいつか解雇されることは覚悟している。でも、彼らも人間。自分を追い出す決断をしたクラブに対する怒り、恨みが込み上げることだってある。
 三好は言った。
「やっぱフィジカルですよね。暑い沖縄をホームタウンにする以上、まずフィジカルで相手を圧倒するようにしていかないと。そこをベースにして、いろんなものを積み上げていく。そうすればきっと強くなれますよ」
 あと1週間も経てば、彼は琉球とは関係のない人間になる。自分を解雇したクラブが勝とうが負けようが、どうだっていいことになる。
 なのに彼は、琉球の来年のことを考えてくれていた。黒田もそうだった。
「わたしはここよりも高いレベルのチームで戦ったことはある。けれども、これほどまでに感動的な経験をしたことはなかった」
 そういってマドリディスタの情熱を讃えたのは、いまから30数年前、ボルシア・メンヘングラッドバッハからレアル・マドリードに移籍したギュンター・ネッツァーだった。子供のころからグラッドバッハのファンだったカネコタツヒトは、いま思う。
 琉球よりもレベルの高いチームの取材をしたことは山ほどある。けれども、これほどまでに選手が、ファンが、無償の愛を捧げたチームをわたしは知らない。
 正直、開幕前はJFLを勝つのなんて簡単だと思っていた。理解のあるオーナーがついて、トルシエがいて、ある程度は選手も補強することができた。勝てないはずがない。いきなりJ2への昇格を決めるのは難しいにしても、上位進出は間違いないと思っていた。
 何もわかってなかった。
 J1には1チームにつき1人か2人、日本代表になれそうだなという選手がいる。J2になれば3チームに1人か2人。ただ、JFLにはリーグ全体を見渡しても一人もいるはずがないと思っていた。
 サッカーにチアリーダーなんかいらないとも思っていた。なにが悲しくて、ヨーロッパ生まれのスポーツにアメリカのスタイルを持ち込まなきゃいかんのだと思っていた。
 本当に何も、わかっていなかった。
 JFLは、簡単なリーグではなかった。5チームか6チームに一人は、将来日の丸をつけそうな選手もいた。そして、アウェーゲームに行くと、なにか物足りなさを感じている自分がいた。琉球ボンバーズがいないからだと気づくまでにはしばらく時間がかかった。
「生まれて初めての無力感を味わった」と口にしたのはトルシエ総監督である。自分も、同じことを感じていた。ただ、ショックを受けつつも、来シーズンに向けて腹の底から闘志がみなぎってくるのも感じていた。たぶん、総監督も同じだったはずである。
「もっと早くこういうパーティをやるべきだったのかもしれないな」
 お客さんが帰り、静かになったファン感謝イベントの会場で、トルシエ総監督はポツリと漏らした。来年に向けて、彼もまた変わろうとしている。
 チームも、だから、変わる。
 チームを愛してくれた選手の、ファンの思いを引き継ぎながら、変わる。
 完全なるリセットではなく、今年の苦い教訓を活かした形で、変わる。
 そういう変わり方でなければ、三好や黒田、ファンにあわす顔がない。
 もしチームが違う方向に行きそうなのであれば、もう遠慮はしない。この場で、あるいは電波を通じて、思ったことを言わせてもらう。
 だからね、三好くん、君の最後のアドバイスは聞くことができないな。
「ブログはほどほどに、ね」


2008.10.08

vs 佐川印刷SC戦

なんか、自分が詐欺師になった気分。
「う~ん、今日の琉球、いつになく立ち上がりがいいですねえ。これはもしかすると、モンスタースコア(5-0とか6-0とかのこと。いつもスカパーでコンビを組んでいる倉敷アナのフレーズをパクリました)があるかもしれませんよ」

 開始5分の時点で、そんなことをしゃべった記憶がある。ちなみに、場内で配られたマッチデープログラムには“開始15分に注目。もし先週のテストマッチの余韻が残っているようであれば大差の勝利も”みたいな内容を書いた覚えが……。

 あてにならんね。カネコタツヒトも。

 正直、前半も半ばを過ぎた段階で、わたくしめ、自分の言ったこと、書いたことを激しく後悔し始めておりました。良かったのは最初だけ。途中から中盤がズルズルと下がり始め、自分たちのボールになっても後方からの押し上げはまったくなし。で、ならば互いに攻め手のない膠着状態になっていたかといえば、なぜか佐川印刷は琉球の両サイドを使いたい放題。サイドがブイブイ攻めあがって、その代償としてやられるのならまだわかるけど、いってないのにやられるってのはどういうことよ。

 だいたいだな、この日はトランスコスモスがワンデースポンサーになってくれて、試合前から社員の人たちが休日返上で頑張ってくれていた。お客さんの入りも久しぶりに3000人を超えた。一人でも多くのヒトに“FC琉球カード”の会員になってもらおうと、場外ではオリコカードの社員の人たちが声を枯らしていた。

 燃えるだろ、普通。

 国体に優勝した佐川印刷は、過密日程とも戦っていた。すっかり涼しくなった本土に比べると、北谷の暑さは相当にこたえたはず。琉球もよくなかったけれど、佐川だってお世辞にもいいとはいえない内容だった。

 で、そんな中で唐突に生まれた比嘉の先制点。秦の“これぞスルーパス”というラストパスから、完璧な持ち出し、完璧なチップショットでの先制弾。重苦しかった場内の空気は一気に爆発したし、カネコタツヒト、この時点でまたしてもモンスタースコアを予感してしまいました。

 それがどうよ。

 選手が戦ってなかったというのであれば、怒りまくることでストレスは発散できる。でも、この日、個々の選手が必死に戦っているのはよくわかった。ただ、それがチームとしての力になっていたかというと、痛いぐらいになってなかった。身も蓋もない言い方をすれば、無意味な空回りを繰り返してただけ。で、セットプレーから唐突な同点ゴールを食らい、ありゃりゃと思ってるうちにDFの小さなミスが重なって逆転ゴールまで喫してしまった。ちなみにシュート数は4対17。逆転を許してから琉球が放ったシュートの数はゼロ。

 これじゃ、勝てんわな。

 試合後、北谷から那覇に戻るクルマの中、総監督は見たこともないぐらいにヘコんでました。

「今シーズン、いったい何度、こういう負け方をしたと思う? どうして琉球は、こういう考えられないような負け方を繰り返すんだ?」

 実はここ数週間、彼はチームの仕上がりにかなりの自信を持っていた。ぶっちゃけた話、“俺がきちんとチームを見てればちゃんと勝てるんだ”みたいな自負もあったと思う。だから、こういう理解不能、説明不可能な負けを突きつけられて、頭を掻きむしりたくなるような気持ちになってしまったらしい。

 そらそうだよな。かくいうわたくしめも、自分としてはかなり自信を持っていた予想、予感がことごとく外れ続けている。勝つためにはどうしたらいいのかという提案が、まったく浮かんでこない。東シナ海の海水をバケツで全部すくえと言われた気分。どこからどう手をつけていいのか、もうさっぱりわからん。
 
 たった7カ月前、佐川印刷には5-0で圧勝してたんだけどなあ。